大学院進学について

「ある目的があり」「博士号をとるから」
ということであれば,他大学院への進学は良いと思われます.

「経済的な理由」というほど,理科大の学費は国立大と比較して高すぎるわけでもないので,
どうかなぁとも思うところです.
何よりも,経済的理由が中心で旧帝大に進学してしまった日には,精神やられてしまうリスクが高いです.

 

・修士で卒業して就職する場合

たとえば他大進学して何かメリットあるかというと,あまりないです.
他大学側にはメリットありますが…育て上げられた学生が作業に参加してくれるので.

シビアな環境に置かれてしんどいわりに,就職先に色がつくこともない.
なぜかというと,理科大から,大企業に就職するのは,別に難しくないから.

シビアな環境で潰されてしまう学生も外部からやってきます.
メリットは少なく,リスクは多い.
修士卒の場合は「キツい研究室に入ることで,とんでもなく自分が磨かれる」と勘違いしないほうが良いのです…
中途半端に出て行く前提である以上,そこまでの気概が持続しません.

就職で重要なのは結局は基礎的な学部時代の成績などです.
修士以上では,成績に意味があまりないことは周知の事実です.
悪いと引っかかるだけで.

つまり修士以上では,成績が良いことは一般的です.
そこを見ても仕方ないことは,採用側も理解しているでしょう.

 

・博士号をとるなら

これなら修士から他大に進学する価値はあります.
ただ,結局は熱意が必要です.

なんとなく「色がつくから」良いだろうと考えている人は,あまり良いことにならないと思われます.
たとえば東大の学生は,成績とかそういうことを抜きにして,感覚がかなりおかしいと思って良いです.
旧帝大系の修士〜博士の学生は,ちょっと頭のネジがおかしなケースが多々あり…良い意味でも.

遠藤自身も修士から東大に行きましたが,たぶん遠藤自身が最初からおかしかったので乗り切れました.
生活のために仕事をするから頑張らないと,なんて発想だと,ついていけなくなります.

卒業後は確かに生活がかかってはきますが,まず前提として「研究 = 生活」という感覚で生きている人が少なくありません.

 

・修士で理科大を出て博士で他大へ

これはリスクが高いです.
止めはしませんが,博士になるためには規定の論文数を出さないといけない.

たとえば「3報」だったりする.この時点で,けっこうしんどい.
もし「5報」なら,3年では終わらないと思ったほうが安心.
3年で出られると考えて進学すると,無理だったとき,かなりショックですので.

博士に他大から入り論文を3報というのは,なかなか優秀です…あ,だから博士になれるのか.
独力で5報は,狂気の沙汰ですので,ご注意を.

遠藤が知る限り,有機化学で,博士で他大進学して3年で出られたケースを,少ししか知らない.
なお,その方々は,かなりの「切れ者」でした…

修士から博士に,大学院を変更せずに続ける場合は,それまでの関連研究や一貫した取り組みが反映されます.
だから,まだリスクが低めです.リスクないなんてことは,ありえませんが.

 

・どれくらい優秀なら良いのか?

難しい基準です.

他人がどうこう言ったところで,修士卒後に大学院を移動し結果論的に博士号を3年でとれた = 優秀,となるケースが考えられます.

なんとなくなのですが,当人が一番,認識しているのではないでしょうか.

自分がどれくらいのものなのかを.

 

遠藤の博士課程は,とにかく恐怖との戦いでした.

はっきり言うと,D1の時点で,論文数だけならいけるだろうと思っていました.

3年で博士になった後の論文も含めると15報近くに関わっています.

 

ただ,遠藤が見ていたのは,それではありませんでした.

「確かに研究の成果としては数が稼げる.そのわりに自分の本当の実力は備わっていない気がしてならない」

これが極めて重要だったと感じます.

 

自分は優秀だと思っているなら,おそらく一過性のものになります.

遠藤の周囲にいた優秀な方々は,非常に貪欲でした.

自分を優秀とか,優秀ではないとか,そういう発想で考えていない.

つまり「周囲が客観的に優秀と認める本人は気持ちが悪くて仕方がない」という姿勢が重要かもしれません.

 

以上,リスクを知りながら挑むなら,それは「勇敢」ということで良し.
しかしリスクも認識せずに乗り込むのは,ただの「無謀」ですので,そのあたりは考えておきましょう…