過去論文のデータ超えに挑戦!

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合成化学者は,過去論文を参考に実験する場合は,その収率を超えるつもりで取り組むべき.再現なんて生温いことを言っているようでは,再現さえできないのです,特に少し特殊なテクニックを必要とする場合や,普段は扱わない錯体,試薬を用いるとき.

 

再現性の問題は根深い.

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140315-00000084-san-soci

 

そうえいば,再現性がない論文が大量にあるという事実は,かねてから指摘されていますね.

どの程度,再現性がないのかわかりませんが…そもそも結論さえおかしいようなものか,存在しないものを存在すると言っているのか,効率が少し悪いというレベルか.

「必要だから過去の文献に従って合成しよう」という場合,遠藤は,どうにかして論文掲載値以上の収率を叩き出そうと画策してきています.これがうまくいくときもあり,逆に収率が半分程度になってしまうこともある.経験上うまくいくほうが多いかな,とは感じています.

 

有機化学で再現性がまったくない論文は,稀にあるけど,多くはない…と言っても良いものか.正確に言うと「熟練者が気合いを入れて実験をして出したデータ」を,普段から同様の実験に取り組んだことがない人が再現できるかというと,さすがに完全にはいかない.

微妙に収率や立体選択性が低下することが多いどころか,逆に,元論文よりも収率や立体選択性が高くなるという現象もある.実験環境の変化によるものでしょう.不活性ガス雰囲気下で厳密に行った方が良いケースと,実際は水とか空気が混入したほうが良いケースがあるものです.

この程度なら,まったく?問題ないと言って良いのでしょうかね.実は酸素や水が関与している,とかいう知見が成功の重要な鍵だった場合,その論文は不完全だということになってしまう?

 

稀に,論文のprocedureに従うと,本当に一切の反応が進行しないケースもあります.自力で解決可能なケースもあるし,どうにもならず投げ捨てることも.

この手の再現性についての情報蓄積をしてみようかなとは思いますが…若干のオリジナリティが加味されることで,結果が変わってしまうこともあるわけだから,一概には言えないなぁ.

 

最近は装置上でのデータ改ざんチェック機能があるので痕跡が残るとはいえ,装置から離れたところで改ざんすると,あまり明確には改ざんか否か判定できないこともありうる.

他にも改ざん余地は色々とあるから,とにかく卒業研究の時点から,正確なデータを出すことに徹するよう教え込むしかない.一方で,改ざんなどしてしまう人は,少なくとも卒業研究時には「意識せず」か何らかの行為に走ってしまっている,のかもしれない.そこで上級生や教員が助長するか,無意識か,特に対処しないことで問題が後に大きくなると言えそうです.

 

コピペをしたことは,基本的にはありませんが…ただ,誰が書いても似た文になるものは,実際にあります.他の論文でも見かけたことがありますね.本当に何も見ないで作文しても,際どいレベルで一致している論文に出くわしたことがあります.

ということで,ついに次の論文を投稿しました.過去,同様の化合物の合成法は骨格の制約を含めて2つのみ,今回の論文では用途の高い骨格を初めて合成した上で立体選択性を獲得…門前払いはないよなぁたぶん.いや,以前も,門前払いはないだろうと思っていたら,門前払いされたことがありますし…

とりあえず言いたいこともありますが,それは後々にということで.

 

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