しばしの方向性は固まりそうな…


気はするのですが,どうだろう.

写真を貼らないと…
少し前に書いた,アンパンマンと画伯が主張したものを貼りました.

遠藤の研究の方向性の決め方は,少し特殊だと思われます.
検討開始当初にばらまいたネタが同じベクトルに進むかどうか,追跡しています.
少しずつ補正してやると,姿形が見えてきます.

こういうことをやりたい,という漠然とした時期が3年くらい続くのは,助教時代にもありました.

実際に助教着任時に検討していたことは、3つほどです.
そのうちの1つが2年ほどかけて成長して,軌道相互作用の方向性につながった一方で,後2つはどうなったかというと,時間もないので,とりあえず放置.

助教の任期が3年で確定していたため,1年目が終了する頃には何か当てておかねば,という心算でいたものの,パッとしないままに1年が経過.
そこで柴田先生と食事に行って「とにかく何か出します(JACSかAngewネタ)」という結論になったわけです.
いや、何か出すのは当たり前だろう,ということですが.
残り2年と言いながら,1年で論文に近づく必要がある.これも余裕はありません.
我ながら,「とにかく出す」とは,よく言ったものです.

日常生活ほぼ全ての時間,研究のことを並列して考えていた,と言えば,聞こえは良いですが,気の休まる時間は一切なかったと断言できます.
それでも今よりは明らかに飲み会で味がわかりましたけどね…今は息子殿を引き連れている,もしくは引き連れていなくても,食事と酒の味なんて,全くわからない.
金沢で息子殿が生まれてから,一切の味がわからなくなった.不味くなければ等しく同じ「食べれる」だけという…

任期3年の助教で何か大当てしろというのは,難しいものです.
とはいえ,35歳には准教授にならねば,と考えていたので,逆算すると,3年でなんとかしたいところ.

自分が取り組みたい,教授が関与していないオリジナルの研究内容で,JACSやAngewに掲載するネタに繋げるというのは,助教レベルだと,割と難しいのです.
教授のネタを参考にするとか,拡張するとか,そういうものではないのです.
ただ一方で,自分でガンガン実験する余力のある助教時に,独自性でJACSやAngewに届かないと,キャリアを積む上で,しんどいだろうなぁという感覚はありました.

何よりも進歩賞は絶対に取ろうという目標もありました.
若手向けの賞の中で,進歩賞は,特殊な位置付けにあると考えています…レベルの高低ではなく.

結果的に,柴田先生との話し合いの後,間も無く,多核錯体触媒の設計が確定し,それが幸いなことに,当初から狙いを定めていた,Cuでの不斉共役付加反応にて,優れた触媒機能を示した.
あの設計は,偶然ではなく,当時の検討で生じていた問題点を解決しようと考えた時,しっくりとパズルのピースが噛み合った結果で,学生と少し話をしていた時「これなら妥当な錯体設計」という流れになった.

その後,数ヶ月くらいで,ジボリルメタン系列を発掘.あれも当初はby-productで得られたもので,見た瞬間に,LUMOが重なっているはず鈴木宮浦カップリングやろう,と思いました.
LUMOが重なって見える!なんて言わなかったですけどね,さすがに…ジボリルメタン誘導体を見た後,一人で計算かけて確認はしましたが.

カルベンは金沢で検討しましたが,補完的な意味合いが強いです.もう次のことやろうと,もがいていた頃に,オマケで取り組んだもので,学生の頃から「どちらが正しいのか」よくわからないものに答えが欲しかったのです.
カルベンで進行している可能性については,学生時代には一切コメントしたことありませんでしたが.
助教になった時,実は,カルベン系を進めようと考えていたからです.少し打算が働いていますね…
金沢から,学生時代のボスに,テーマについて連絡したときも,カルベンについては触れず.どう転ぶか曖昧だったもので.

つまり,助教時代の残り2つのうち1つは,カルベンです.カルベンというか、あまり細かいことは,まだ書けませんが.頭の中で,歯車がハマるまで待っている状態です.
ハマらないまま定年を迎えないだろうな…ハマるの待っているネタが,いくつか残っているのです.

助教着任時に開始した3つの検討のうち,残りの1つは,今,理科大で動かしているところです.
全体的な歯車が噛み合うまで,あと1〜2年くらいかかるかとは思います.
反応開発の新しい作用機序の投入が早くても来年度,ということで,さらに時間かかるかもしれない.
いきなりスマートなものは無理だろうなとは予想しています.

あと1つ,学生は認識していない可能性大ですが,1つ大きめのネタが現行のテーマに紛れ込んでます.
これも少し手間取る可能性ある.うまくハマると良いけど分子設計と,その結果が,噛み合うかどうか,実際に合成しないとわからないのです.
このネタの方向性は,遠藤が,学部の学生の頃に,将来,取り組んでみたいなぁ…と考えていたことです.
軌道に乗って,道を切り開く先陣となれば良いですが,それも結果を見ないことにはわからない.

今は育児でカオスというか研究については「待ち時間」に相当します.
やむなし.
自力で年間1500実験くらいやっていた頃(たぶんD2あたり)の馬力を発揮できない以上,学生に,それを要求なんてのは不可能ですしね…
天才は,こんな不毛な数の実験なんてしません!
自分が天才ではないと思うからこそ,頭おかしい数をこなす必要があるだけです.

学生の頃から考えると,飛躍的に成長した自分がいるとは思いますが,このスタイルをよしとは考えていません.まだ低いレベルの自分に悩みは尽きません.
遠藤の手法は,天才のなせる業ではないのですね…
もう無理ですけどね.元から天才ではないことを自覚してやってきているので,理想とする研究への取り組み方にはならない.

ただ,今現在,周囲から「何しようとしているかわからない,大した内容ではない」という評価を受けていれば,遠藤の本望です.
例えば,助教着任後も,そのような立ち位置でした.
自分の独自性を追求しようという時,最初から評価されるようであれば,それは「既知で予定調和」でしかないのです.

論文1つはOrgLettに投稿中です…ただこれ,落とされてもおかしくはないなぁ.
ちょっとどうかな?という感覚がある.JOCなら問題ないような気もするし,曖昧なのですよね.
案の定,落とされました,とか報告する予定.

次の論文は,どちらが先になるか.
いずれにせよOrgLettから.
今年は3報は出るでしょう…

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