研究テーマ希望について

研究テーマなどを最初から固定して,研究室配属を目指す学生が増えてきた気はします.
研究室全体で共通の方向性「全合成」「反応開発」「触媒開発」「機能性材料」というものがあれば,各研究室を選別して門戸を叩けば良いでしょう.
ただ,我々の研究室では,全合成は主たるターゲットとしていませんが,基本的に遠藤個人の究極目標のようなものがあり,それに関連する有機化学関係のものなら何でもあり状態です.
論文が出て行かないと詳細は書けません.成果は出ているので2017年度から投稿予定.

以下,代表的な疑問を考えてみます.絶対ではありませんので,参考までに目を通しましょう.
遠藤が考えている,感じていることはこれ,というくらいで,他の研究室で異なることは,おおいにありえます.
そちらの考えが自分にあっている,というなら,そちらの研究室の門戸を叩きましょう.

Q1: 卒研配属時の研究テーマが,人生に及ぼす影響は何か?
A1: 民間企業への就職を希望する場合は(おそらく)特にない.

おそらくですが,修士で卒業するなら,研究テーマが就職活動に及ぼす影響は,さほどないでしょう.
影響が強いと考える学生によって,むしろ自分自身に不利益が生じていることに気づいたほうが良い.
ただし,卒研配属の時点で,絶対に博士課程に進学する!と考えているなら,こだわっても良いと思います.

企業における生理活性物質の合成に取り組みたい場合でも,昨今は,異なる視点からの取り組み,寄与にも注視しているらしいので,学生時代に生理活性物質合成に取り組んでいることは絶対ではない様子です.
概して言えば,修士では,企業の都合により異なる部署に吹っ飛ばされるので,気にしても仕方有りません.
そこまでの要求が,修士卒で確実に通る,なんてことはない.

Q2: 卒研配属時の研究テーマは,研究室配属中,不変のもの?
A2: 不変ではない.

研究内容が必ず成果につながる,という確証もありませんので.
卒研時はトレーニングに近いため,修士や博士課程でテーマが様変わりしても,比較的,柔軟に対応して研究にあたることが可能です.
また,当研究室では,修士以上であれば,学生が提案した研究テーマを実行する意義が見出せれば,自由に検討してもらうことにしています.
難しいですけど.せめて遠藤を論破しないと厳しい.
ある程度,可能性がありそうなら,サイドワークで進めてもらいます.

Q3: 学会発表しないと就職活動での内定に影響あり?
A3: あまりないと思って良い.企業の色次第では.発表するに越したことはないが…?

大学時代の研究テーマは,当たり外れが個人の力量と無関係なので,学会発表が可能かどうかもテーマ次第です.
前任者が取り組んでいた研究テーマを引き継いだ,といったものなら,当然,成果になりやすいので,学会発表もしやすい.
新規性が高いものほど,成果につながるまでに時間がかかる.

いずれにせよ,企業は,就職活動で提出される研究内容自体を,そこまで評価していません…というより,そもそも内容を,あまり理解できていない,または理解することは意味がないと最初から投げ出している.
面接にて出てくる質問などについて,学生から聞いた話でわかります.

では,あの「研究内容」で何を見ているのか?
まったくの素人である他者が読んでも理解可能な文章構成,論理構成,筆記能力,アピール力,などでしょうか.
他にもあるかとは思いますが.
成果がなかなか出ていない場合「どれくらいチャレンジングなのか」を相手に伝えられないなら,確かに評価はされないかも.

以上,遠藤が幾つか聞いた話なので普遍的ではありませんが,学会発表の有無は,個人の評価に大きく影響しない,とのこと.
国際学会だと良いかもしれない.しかしこれは,さらに個人の力量で国際学会で発表可能か,よくわかりませんね.

ただ,なんとか修士修了の3月の日本化学会で発表をしてもらいたいところです…
発表すること自体に意味はあります.
人前で研究成果を説明し,評価を受けるということもそうですけど,集大成とも言えますからね.
研究の醍醐味でもある.

ただ,就職内定にどうこう,という点は,影響が大きいと考えて「発表していないから足を引っ張るかも」と考える必要はない.
そんなこと考えて内定が得られない原因の1つとしても,現状の自分の武器で戦うほかないのだから無意味ですし.

結局は,どのような評価をするか企業に依存するかとは思います.
企業の風潮を下調べしてから就職活動をする,という点には変わりないですね.

Q4: 大学の研究で成果を上げる意味ないの?
A4: ある.

単に,テーマ依存性が高過ぎるので,就職活動などでは,いかにチャレンジングなことに取り組んでいるかを,説明できれば問題はない.
その上で,成果が出れば,それは好評価につながるでしょう.
また,この手の「仮説から成果まで」の一貫した流れを経験することは,社会に出ると,特に難しくなる.
学生のうちに経験しておいたほうが良い,というのが個人的な見解です.

修士論文発表が可能であれば,その基本は問題ないということで,送り出されるわけです.
もっと刺激的な経験を積んでおきたい,というなら,相応の努力が必要になるだけ.
研究室は,個人的な要求を満たすように,上から降ってくるシステムにはなっていません.
どれくらいの努力が必要か,ということも,教えてもらって大成するなら苦労はしない.
そのため,際限なくなってしまうのですよね…ただし,自分で考えて行動する,というのは,大学の基本です.
成人しているのに,おんぶにだっこ,では困りますね.

以上,テーマ依存性のある点に評価は集中しない,ということで,あとは好みの問題ですね.
我々の研究室では,テーマについては以下のようになります.

2017年度の卒業研究配属の希望についてですが,研究テーマを絞り込むなら,成績や人格的なところを抜きにして,受け入れ不可能になることがあります.
その関連テーマ以外は受け付けられない!となると,仕方ないですね.

我々の研究室は,反応開発3割,触媒開発3割,機能性材料開発4割,程度の振り分けになっています.
つまり,8名の募集なら,反応開発2人(か3人),触媒開発2人(か3人),機能性材料開発3人(か4人)
という内訳になります.

今年のプレ配属3人は反応開発1人,機能性材料開発2人となっています.
彼らが異なる研究室に卒業研究配属希望となるか,それは本人に未確認です.
当然,何の縛りもないので,彼ら3人が全員,卒研配属で他の研究室を希望する可能性もあるし,遠藤は特に止めるようなことはしません.

具体例としては…機能性材料開発絶対!という5人以上の希望が来ると,1から2人は必ず受け入れ不可能になります.

テーマは配属人数分を渡すので,学生が話し合いで何に取り組むか決めることになります.
その結果,自分の希望に沿わないテーマになったとき「やっぱり配属やめます」=「卒業研究しません」となるため,よく考えてから配属希望を出してください.

希望外のテーマも「経験」と考えて取り組める人は,社会に出ても,強いと思います.
固執するほど社会では厳しい風当たりにさらされる可能性あり,です.

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