15. BINAM-PHOS

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“BINAM-mono-PHOS as New Entry for Multinuclear Cu-Catalysts in Asymmetric Conjugate Addition of Organozinc Reagents”

Endo, K.*; Takayama, R.; Shibata, T.*

Synlett 201324, 1155–1159.

highlighted by Synfacts 2013, 959.

 

これまで我々は,水酸基を有する配位子BINOL-PHOS,SPINOL-PHOSを中心に,複核金属錯体触媒の機能解明に取り組んできた.BINOLを脱プロトンしてマルチメタル触媒を調製する例は知られていたため,BINOLを基本骨格としていたのだが,実際は水酸基である必要性はない.ないが,合成的に面倒そうだというイメージはある.

ただ,我々の錯体において,水酸基以外のプロティックな官能基の効果は不明であった.そこで,水酸基の代わりにアミノ基を導入したBINAM-PHOSを新たに設計した.合成は,まだ楽かな?と思いつつ,若干面倒である…それよりも,原料であるBINAMの価格はBINOLと比較すると,かなり高額である.躊躇はしていたが,やはり気になるアミノ基の影響.

 

そこで,まず最初に片手間に合成を試み,ひな形が出来上がったら学生に丸投げしようという試み.とりあえず,フリーのアミノ基を持つ配位子は合成できた…ただ,これでは,うまく錯体を形成しないだろうなぁという印象を持っていた.酸性度が足りないだろうということだ.

酸性度を上げるなら,アミノ基に置換基を導入し,アミド基にすれば良いだろう,という適当な発想だが,それで問題なかった.相変わらず,有機亜鉛試薬の不斉共役付加反応を検討.アミノ基では触媒活性も立体選択性も低かったが,アミド基にすると,別人のような触媒活性を示す.

また,2つのホスフィン部位を導入したBINAM-PHOSよりも,1つのホスフィン部位を導入したBINAM-mono-PHOSが,高い触媒機能発現に寄与する.興味深いことに,得られる生成物の絶対立体化学は,BINOL-PHOSを用いたときとは,逆になることがわかった.実に摩訶不思議.特に理由らしき理由が見当たらないあ.

 

これはプロティックな部位が立体選択性に大きく影響を及ぼすことを示す,重要な情報である.今後も新規配位子合成に取り組みつつ,守備範囲を広げていきたいものである.

 

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