上京

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しかし考えてみるとオリジナリティというのは定義というか判断が難しいですね.

個人的には,反応開発ならオリジナリティの根本は「主たる原料も試薬(触媒)も市販品ではない」ケースではあります.その縛りはきついから「主たる原料か試薬(触媒)が市販品ではない」ということになるのですが,そうすると後述の内容は本当に良いのかという話.

あ,しかし,たまに「こんな簡単な組み合わせで革新的」というものはありますね.珍しいですけどね.

 

昨今では,試薬や触媒は市販品か,そのマイナーチェンジが多いため,ここにオリジナリティが現れることは珍しい.たとえば,BINAP誘導体を合成して用いていればマイナーチェンジに相当します.

遷移金属錯体触媒を用いる反応では「STREM chemistry」「STREM reaction」などという表現さえある.STREMは,様々な金属原料錯体と配位子を販売している試薬会社.そのカタログからチョイスして,出発原料を少しずつ変化させて論文にしている例は本当に多い.

さすがに,中国発の「メチル基をエチル基に変えました」という論文は除外するとして.それが劇的な変化をもたらす場合は良いのですけど.

 

結果的に,とにかく原料が複雑化する.複雑化しないとしても,ちょっとしたスパイスが効いた結果が出て,インパクトが高い雑誌に掲載されたりする.それでプレスリリースされていると脱力感に襲われます.

既にあるパズルのピースをいかにして,うまく組み立てて,絵を完成させるかという競争になってしまっています.それが理解できていても対策は難しいものです.

 

そのため,本気で革新を目指す場合は,そうそう成果が出ない気がします.組み合わせの妙を追及しているのが現代の化学の大半であり,飛び抜けた天才が生まれれば,一発で真に革新的な発見に至るのかもしれないし,実際は凡人が長年に渡り研究を積み重ねることで達成されるのかもしれない.

天才になりたいものですね!…という凡人の感覚であった.

 

 

さて東京に出るので論文を書いたりしよう.軽いやつが2報待機中です.

今年度に入れば落ち着くかと思っていたのですけどね,東京出張.まだ続きます.

 

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