研究テーマに対する恐怖心
わかっていても,ジボリルメタン系の反応が報告されると,気になってしまう.今度は中国人のものですね…学会で発見していたので驚きはありません.
この手のものは,もう精神的にも放棄して新しいことに着手していかねば.
あ,でもあと一つだけ検討しよう…だいぶ以前から反応を仕込もうと思っていたので.しかし手が回らない.
無理ですね,グループが小さいのに仕事を広げすぎました,さきがけが始まってから.
本当なら,マルチメタルとマルチボリルメタンだけで,今も展開している予定でした.マルチボリルメタンの反応開発は,一応,我々が進める道義はあるので何を言われたところで関係ない,はずだったんですけどね.
他者が介入することで,その後の研究が,やけにつまらなくなってしまいました.
個人的に研究の指標にしている感覚があります…それは「何があるかわからなくて怖いもの」に取り組むということかもしれません.
その点で,マルチボリルは介入によって「何かがあると認知された」ため,反応開発では気が乗らなくなりました.
さて,月末から単結晶構造解析が自分で可能になります.ひとまず有機骨格はそれで良いとして…ディスオーダーしているかどうか,という点は気になる.
まず金属を入れていかねば.一応,ターゲット自体はあります.ただ,理論計算で的を絞るのは無理な気もします,こればかりは.そういう例も稀だし.
大半は後付けにしかなっていない理論計算.予測をして,実際に,その通りになれば,有機化学でも,大きなブレイクスルーだと思います.構造情報についての予想は現在でも十分と思えます.
ジボリルメタンについては,理論計算で予測をして成果が出た稀な例でした.しかし,エネルギーレベルは,まったく反応性と相関していません.ただ分子軌道が特異であっただけ.
そのあたりは,研究者自身の妄想力が必要不可欠で,まだまだ自分も役に立つだろうと期待することにします.
共同研究1つ目を始めました. もう目処が立っている気はします…なんとか合成頑張ります.