消耗戦

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12月ですね.そろそろ雪支度でもしておかねばなりません.

そう書いているうちに,なんとなく雪が降ってきています.吹雪いていますが積雪には至らないレベル.気温は,そこまで低くないからか…と思ったら,山(キャンパス)は3℃を下回りました.

下界(山のふもと)と2〜3℃くらい寒暖差があります.

 

ということで,スタッドレスに履き替えしました.自分でタイヤ交換くらいしろと言うかもしれませんが,素人仕事は怪しいなと常に思うわけです.

走行中にタイヤが外れるという例は知られていますね.たいした費用もかからないのでディーラーにやってもらうのが妥当かなと.

あのディーラーは,なぜか,タイヤ交換費用が安いような…

 

ジボリルメタンの研究は「他の方々の間で争っている」という,なんだか予想を超えた展開になってきています.

もう我々は,人がいない,というのが理由の1つではありますが,ジボリルメタンを用いる反応開発はやっていません.

あと「黙っていても他研究者が時間を割いて実験をして報告してくれる」ことが明確になったので,自分の時間を無駄にせずに済む,という判断をしました.

実際,そんなことやっている暇がない…

 

今のところ報告されてきている論文は,かつて遠藤かグループの学生が検討していたものが大半で,かなりの実害があり憂鬱でした.

もう誰も関与しなくなり実害ゼロです.こうなると,スッキリします.

いずれ,どこかで終息はするでしょう.それは良いとして…

 

本当に残念なことは,有機化学は慢性的なアイデア欠乏症に陥っているということです.まさに消耗戦の様相を呈してきている.

いつか疲弊して発展性に乏しくなるまで,ただ浪費を続けているだけです.

たとえて言うなら「配位子の微調整を続けて触媒活性を上げる」という研究に近い.

 

この手の研究がまかり通ると,マニピュレーションで良いと勘違いした学生が若手研究者としていずれ登場する.これでは先が思いやられます.

特に日本人の学生〜若手研究者に,こんなもので良いと思って欲しくないわけです.

 

こういった「きっかけ」を元に爆発的に研究が進む例はあるとしても,それは「クロスカップリング」「C-H結合活性直接官能基化」とか,そういうレベルにすべきだと思うのですよね.

ジボリルメタン系列は,我々の戦略をもとに1つのアウトプットとして表現しただけで,大テーマとしての意義は一切ない.

わざわざ他の研究者が広げるほど意味のあるネタではないはずです.

 

ただ他研究者の報告は「単なるデモンストレーション」であって,そこに何らかの「究極目標への道」が含まれているのかもしれない.

 

自分の究極目標に向けた戦略を表現したものを,自分で派生させていく,ということは,まだ理解できます.

派生させるのが特に関係のない他人,これは当人の時間の無駄と考えて改めた方が,有機化学全体として,良い方向に向かうはず…と,思うのですが,違うでしょうか.

チャレンジングなテーマに取り組み続けると,そのままボコボコに叩かれ続けるので,憂鬱ですが…

 

インパクトのある成果にならない可能性は,かなり高い.まったく成果にならないかもしれない.それでも,ブレイクスルーを目指すのが研究だと個人的には思います.

そういう取り組みの果てに,それほどインパクトファクターが高くはない雑誌に論文が掲載されても良いのです.

うまくいくことが予見できるなら,それがインパクトファクターの高い雑誌に掲載されても,特に何か壁を越えたわけではない.

 

以上,現在の有機化学の大半は「ダシが出なくなるまで絞り続けて,出なくなったら捨てて終わり」という研究情勢である,ということを,学生〜若手研究者の方々は認識して,新しい芽を育むことを願っております.

どこかに転がっているアイデアを拾うくらいなら,大学で研究する意味はないでしょう.

 

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